不登校のWell-Being
5. 不登校とフリースクールの経営実態

4月に、「今年こそは」と決意新たに新年度を迎え、そしてやはり学校に行くことが可能ではなかった子どもたちの実態は、5月、6月に顕在化していく。

そんなとき、「フリースクール『経済的理由で入会諦めた子どもがいた』58%」という報道があった(NHK)。

その記事では、以下のような情報が発信されていた。

A. 経済的理由でフリースクールへの入会を諦めた子どもがいた。58%
B. 経済的理由で退会した子供がいる。41%
C. フリースクールの月額利用料が3万円以下の施設は69%
D. フリースクールの月額利用料が1万円以下の施設は28%
E. フリースクールの利用料は高いと感じるが仕方ないと仕方ないと思っている保護者。34%
F. フリースクールの利用料をできれば安くしてほしいと思っている保護者。25%

このデータを読み取るときに注意が必要だが、まずA〜Dの回答者は181のフリースクールである。
したがって、全国の58%の子供が入会を諦めたのではないし、全国の41%の子供がフリースクールを退会したわけではない。
とはいえ、「様相」としてはそんなものなのだろう。

2023年現在、不登校の児童生徒は24万人いる。
これは紛れもない事実である。
その中で、学校以外のオルタナティブな居場所としてフリースクールは大きな意味をもつ。
単純な考え方をすれば、それだけの不登校児童生徒がいるなら、その受け皿としてのフリースクールがあれば彼らも救われるし、新たな未来への足がかりとなると考えるだろう。

だが実際には、全国フリースクール協会等の報告、調査では、フリースクールの数は500団体ほどである。
フリースクールの設置基準は特になく、言い換えれば「誰にでも作れる」ものであるため、数えられないまでも小規模で運営している団体もいることだろう。
また、フリースクールと名乗っている塾も混在している(1割程度)。

その団体数が不登校児童生徒の数に対して少ないのは、一つは経営における困難がある。

フリースクールは、学校教育法第1条に記載される、いわゆる「一条校」(小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園)ではないため、公的な組織、施設ではない。
したがって、国からの公的支援は得られず、それぞれの施設が運営に苦しんでいるのが現状である。

2017年に「教育機会確保法」が制定され、民間のフリースクール等への支援の必要性なども議論されるようになったが、それほど早い段階でこの難題が解決するとは考えられない。

少子化対策や外国人の出入国、雇用に関する課題は前に進むのは、現在の日本の体力を表している。
「人」がいなければ、国としての体力が落ち、経済が潤わない。

そして、「今いる子供たち」の問題は後回しになっている。
24万人の子供たちとその親の苦しみに手は差し伸べられていない。

そのような、同じような状況のなか、オルタナティブスクール「種子学園」を創設したLee Ya-Ching(李雅卿)はこう言った。

「もういいわ。自分たちで学校を作るから」

24万人の子供たちがいきいきと自身の人生を歩み(Well—Being)、その親は抱え続けてきた苦しみや悩みから解放されるために、可能な一歩はどのようなものだろう。

これから、私が考えていることを述べていこう。

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