「講師だと自己効力感が低いのか?」教師はなぜ、憧れの職業ではなくなったのか No.24
前回(本シリーズNo.23)では、TALIS2018の調査において、日本の教師はOECD平均から見て「自己効力感が低い」という結果について検討した。
そしてそれはどうやら、有期雇用と終身雇用(講師か教諭か)という雇用形態とも関連があるのではないか、という問いについて言及した。
今回はまず、有期雇用と終身雇用の違いについて整理してみたい。
教諭と講師について
日本の学校はなぜ、他国に比して正規教員が少ないのか。
まず、講師というものについて説明しておこう。
教師になるためにはまず、「教員免許」が必須だ。
教員免許はそれを扱う教育系大学や学部に入学すれば、はっきり言って途中退学さえしなければ「誰にでも取得できる」だろう。
要するに、取得レベルが千差万別ではあっても、取得した教員免許はみな同じだ。
厳密には専修免許、一種免許、二種免許があるが、大学院で取得すると専修免許、大学で取得すると一種免許、短大で取得すると二種免許という違いがあり、スタート時の僅かな給与の違いや、管理職になれるかという程度の違いしかない。
職員室で、誰がどの免許なのか知りもしないし話題にもならない。
教員免許を取得したからといって、教師にならなければいけないわけではない。
教師になりたければ、6月~9月にかけて実施される各自治体の教員採用試験を受験する。
この倍率について、本稿で話題にしているところだ。
そしてこのシステムから、「講師」という雇用形態が発生する。
教員採用試験に合格できず、他の職に就かずに引き続き教師になることを目指すものが、講師になる場合が多い。
そして、自治体にもよるが、最近では講師をすれば、その自治体の翌年の採用試験で優遇(1次試験免除など)が受けられる。
また、かつて教師をしていたが退職し、たとえば子育て等が落ち着き、講師として教員に戻るパターンもある。
講師であっても給与は正規とほぼ変わらないし、ボーナスも出る。
担任として学級経営を行うことも、もちろん可能だ。
しかし、雇用期間は3ヶ月や6ヶ月(産休や育休の代用教員)が多く、常勤の講師でも1年以下(たとえば3月31日の1日だけ雇用がない状態)の雇用形態となる。
講師をしている教員の中には、少なからず採用試験になかなか合格できないものもいて、40歳を過ぎても、あるいは生涯講師のまま勤務し続ける教員もいる。
この不安感は察することができる。とくに日本は、TALIS参加国の中でも講師での雇用形態が多く、さらには終身雇用がいまだに当然の風潮がある中、不安が大きくなることは想像に難くない。
このことが、教師としての自己効力感の低下をもたらし、教育の質に影響している可能性はやはり否めないだろう。
(次回へと続く)
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