「教師の雇用形態と自己効力感の関連は?」教師はなぜ、憧れの職業ではなくなったのか No.23
前回(9月6日、No.22)では、教師の給与について取り上げ、TALIS2018の結果から、日本の教師、とくに若手教員はそれほど不満には感じていないようだが、校長クラスになるとずいぶん不満を持っているようだと述べた。
そこで今回は、給与、あるいは「仕事の満足度」と関連が深いかもしれない「教員の労働条件」について検討してみよう。
日本の教員は、なぜ有期雇用が多いのだろう?
ノート2018では、【図8】に示される教員の労働条件に着目してレポートしている。
一番左のグラフを見てみよう。
これは「終身雇用契約」の教員(教諭)の割合だが、TALIS参加国・地域の平均が82%に対して日本は75%である。
これは、TALIS参加国・地域の中ではかなり下位に属している。
また、左から2番目のグラフを見てみよう。
これは「有期雇用契約(1年以下)の教員の割合」だが、TALIS平均が12%に対して日本は18%であり、参加国中では上位になっている。
単純に数値からだけでいうと、日本の学校の場合職員室に20人の教師がいれば、そのうち4人程度は有期雇用教員(いわゆる講師)であるということになる。
ところで、TALIS2018のレポートには次のような記述がある。
「1 年以下の契約で雇用される日本の教員の割合は、この 5年で 5 ポイント増加しており、このような契約の教員の場合、授業に対する自己効力感が低い傾向がみられる」
有期雇用教員は、終身雇用教員より自己効力感が低いというのは、どのようなエビデンスがあるのだろう。
日本の教師は自己効力感が低いのか?
OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018報告書 〜学び続ける教員と校長 〜 のポイント(https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2019/06/19/1418199_2.pdf)における表を引用して見てみよう。
【図9】に示されている、教師の自己効力感関連の項目については、いずれもTALIS参加国平均に比して、日本は大きく下回っていることがわかる。
とくに参加国平均より顕著に下回っているのは
「児童生徒が学習の価値を見出せるよう手助けする」
「多様な評価方法を活用する」
「児童生徒の批判的思考を促す」
「児童生徒に勉強ができると自信を持たせる」
といったあたりがOECD平均に比して非常に低い。
ではこれが、有期雇用と終身雇用でどのように違うのか。
あるいは「仕事の満足度」とどのような関連があるのか、次回検討していきたい。
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