「防火扉」で成功した不審者対応

2001年の大阪教育大学附属池田小学校事件、そして2005年の寝屋川市立中央小学校で、卒業生が校内で教師を殺傷した事件以後、各学校で不審者対応訓練が研修として取り入れられるようになった。
ぼくはこれまで、たぶん100校くらいの学校や自治体の研修に講師として関わってきた。
そこで見てきたこと、学んできたことを、ほんの一例だがここで共有したいと思う。

今回はまず、防火扉を使って成功した例を紹介しよう。

防火扉で犯人を追い詰めた学校

訓練は、たいていの場合うまくいかない。
そもそも、学校の教職員が不審者にうまく対応することなんて不可能だ。
訓練は、失敗から学ぶことを目的とする。

ぼくはこれまで、本当に多くの学校の不審者対応訓練と関わってきたが、その中でも唯一と言っていい、「成功した」訓練があった。

訓練では、負傷する教師や子供を想定する。

大阪府の南部、和歌山県との県境の海辺の街にある学校だった。
夏休みのある日、研修講師としてその学校に赴いた。
ほど近くにあるビーチでは、海水浴客が溢れかえり、楽しい声が聞こえてくるような街、そして学校だった。

安全担当の教師は、いかにも体育会系で、そして礼儀正しく謙虚だった。
訓練の計画について熱心に話してくれたが、あまりに計画がしっかりしていて驚いた。
校内のいかなるところに犯人が現れても、同じ方法で追い込み、子供たちを守る計画だった。
その方法とは、防火扉を使用することだった。
防火扉は、どこの学校にも設置されている。
この学校の計画では、不審者をどんどん追い込み、防火扉を閉めていき、犯人の行き場を塞いでいく作戦だった。

そんなこと、うまく行くはずがない、と思って見ていたが、それはとてもうまくいった。
最終的に、犯人は袋小路に追い込まれ、教師は無傷で警察の到着を待つという結果になった。

ぼくは心底、感心した。
関心があれば、学校の先生は一度トライしてみるといい。
わからなければお手伝いするので、メールなどでぼくに問い合わせてみてほしい。

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