コロナ禍の新任教師たち③ 「濃い霧の中、教師としての自信を作り出せずにいた」教師はなぜ、憧れの職業ではなくなったのか No.8
緊急事態宣言が発出され、翻弄される教師たち
コロナ禍の新任教師たちは、元ゼミの仲間で情報と心情を共有しながら日々を乗り越えていた。
そして2020年4月7日。
東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県に「緊急事態宣言」が発出された(この後、4月16日には全国に発出された)。
緊急事態宣言発出の翌日、元ゼミ生たちは以下のやりとりを行っていた。
(勤務地)市もやっと明日から休みになりました。基本的には水、木、金は学童(放課後保育)に行っていない子供で来たい子だけ、自由参加で8時半から11時半まで来る予定です。週に1回の登校日は、全校の登校班を半分に分けて月曜日と火曜日で設定されています。
2020年4月8日 pm.8時40分 京都I
大阪府(勤務地)市は、この7日間で始業式が、通常開催→短縮開催→学年別登校からの短縮開催→中止
と方針が変わりました。
まだ、自分が担任する子供たちと会えない状況が続いています。
2020年4月8日 pm.8時56分 大阪H
(勤務地)市では始業式、入学式は6日に終わりました。9、10日は時差登校でしたが、なくなり、教科書配布日になりました。8時半~16時半の間に、保護者か子供が課題や教科書を取りにくることになっています。その後は完全休校で登校日も設けません。教員は来週からは日直制で出勤することになりそうです。
2020年4月8日 pm.9時01分 東京N
これらの書き込みからは、学校現場の混乱が垣間見えてくる。
始業式が中止になり、学校休校が継続され、子どもにも会えないまま新任教員としてスタートすることなど、一体誰が想像したことだろう。
そして全国の学校では、分散登校、出勤体制、遠隔や課題による学習の場の工夫など、これまでに経験しなかった対策に乗り出していく。
このままだと、私たち・・・。
このような非日常のさなか、京都Iが以下のような書き込みをする。
新任教師とは、何もかもが初めてであり、それが当たり前だ。
新任教師たちは、前年の10月に採用試験に合格してから、日々喜びと不安を交錯させながら、4月8日に担任する子供たちと出会い、その教壇に立つ覚悟を高めていく。
しかし、その覚悟の昂りはコロナに見事に打ち消された。
逃げることも投げ出すこともできず、その不可解な現状をただ受け入れることしかできず、無我夢中で対応してきたのだろう。
そして新任教師として2週間たち、ふと教師としての自分を見つめ始めた。
子供と会っていない自分。
大学での模擬授業や教育実習での“Student-Teacher“としての授業ではなく、1人の社会人として、プロの教師として未だ授業をしたことのない自分。
そして、このままいつ終息するかわからない濃い霧の中で、どこを向いているのかわからず、自信を構築できない。
その不安ともどかしさが滲み出ている。
(次回に続く)
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