「不登校と学業、授業の関連」 教師はなぜ、憧れの職業ではなくなったのか No.62
引き続き、小中学生の不登校の要因について考えていこう。
不登校の要因と学業の関連
ここまで、小中学生の不登校要因の1番目と2番目に多い要因について論考したが、3番目にその要因として多かったのが、小中学生ともに「生活の乱れ、あそび、非行」だった(小学生14.0%、中学生11.0%)。
2021年度の調査ということに限れば、コロナ禍の影響が少なからずあるのではないだろうか。
経年比較しようと試みたが、この要因の文言が2019年度以前は「あそび、非行の傾向がある」となっており、比較が難しかった。
だが、2020年度調査から「生活の乱れ」の文言が入ったということは、コロナ禍における休校措置等で、児童生徒の中で生活リズムが変わってしまった可能性を調査したいという意図の表れであることは、容易に想像がつく。
そして、4番目に多かった不登校要因は、小学校と中学校で違いが現れる。
小学校では不登校要因としての割合が低いが、中学校で現れてくるものが、以下の3項目だ。
「学業の不振」(4番目、6.5%)
「入学、転編入学、進級時の不適応」(7番目、4.1%)
「進路に係る不安」(10番目、1.1%)
この3つの項目について2019年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)を見てみよう。
そこでは、不登校の要因について、「本人に係る要因」と「学校、家庭に係る要因」をクロス集計している(2020年度以降は別の方法になった)。
表を見たとき、本人に係る要因の「無気力の傾向」分類をみると、小中学校ともにもっとも強い関連を示すのが「学業の不振」(小学校39.7%、中学校44.2%)だ。
また、「不安傾向」分類でもっとも強い関連を示すのは、これも小中学校ともに「進路に関する不安」(小学校59.7%、中学校49.5%)となっている。
「不安傾向」で次に多いのが、これも小中学校ともに「入学、転編入学、進級時の不適応」となっている。
このことから、「学業の不振」「入学、転編入学、進級時の不適応」「進路に係る不安」に関しては中学校でとくに強い不登校要因と考えたのだが、割合としては小学校、中学校ともに「無気力」「不安」と高い関連性を示していることから、不登校要因として十分に注視するべき観点であること言えるだろう。
これらは、いずれも学校の授業に関連のあるものとなる。
子供たちは、学校の授業についていけなくなったり、わからなくなったり、つまらなくなったりすると、それが不登校に繋がっていくと考えられるのだ。
そこから、不登校における「教師の役割」「教師の関わり」が見えてくるかもしれない。