「コロナ禍と不登校の関連」 教師はなぜ、憧れの職業ではなくなったのか No.58
この何回かは、「いじめ問題」に焦点を当てて論考してきた。
今回から、「不登校」にテーマを変えていこうと思う。
「いじめ問題」と「不登校問題」はセットにして語られることが多い。
どちらも学校教育における現代的で重要な課題だからだろう。
不登校の増加とコロナ禍の影響の「見方」
「長期化するコロナ禍で増える不登校・・・『子どものSOS』発見に試行錯誤をする教育現場」
先日、このような見出しのニュースが出ていた(2021年10月27日MBSニュース)。
文部科学省が、2020年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」を発表し、その結果を受けての報道だった。
実際にはどの程度増えたのか、グラフをみてみよう。
グラフを見ると、確かに令和2年度(2020年度)は増加している。
しかし、COVID-19が発生したとされる2019年度(末)から2020年度にかけて、激増したかといえばそうではない。
増加率は2019年ー2020年は8.2%であり、2017年ー2018年の増加率14.2%の方がはるかに高い。
だが、「増加」についてはその内容に注目するべきだろう。
どれだけ増えたか、ではなく、増えた内容に変化はあるのか、ということだ。
これまで年々増加している不登校の要因と、2019年ー2020年、あるいは2021年の不登校の増加要因について、検証していく必要がある。
例えば①「家庭環境の変化」がその要因である場合もある。
コロナ禍による経済面での影響によるものや、一時はコロナ禍におけるドメスティック・バイオレンスも話題になった。
そのような家庭環境の変化が子供の学校生活に影響を与えた可能でもある。
あるいは②「学校休業による影響」がその要因である場合もあるだろう。
2020年3月から7月ごろまで、長期にわたる全国一斉学校休業があった。
歴史上、ここまで長期にわたって学校が閉鎖されたことはない。
したがって、計算できないような影響があってもおかしくはないだろう。
また、その後の一時的な学校休業や、オンライン授業や課題による授業が、子供たちの学ぶ習慣、あるいはその意欲を変化させた可能性もあるのではないか。
または「怠学」のような状態に陥っている子供もいるのかもしれない。
不登校とコロナ禍の影響について、次回から少し資料に当たってみよう。